2013年11月30日土曜日

GHとGJ。2台のインプ。

家の車が車検のため、GJ(いわゆる四代目セダン)インプレッサを代車として借りた。
クルマで動く用事が多い1日だったため、自宅近辺→学校→本郷というよくあるコースの120kmほどの行程を走った。
渋滞、ゆっくり巡航の第三京浜、周りのクルマに合わせて走る首都高、狭い路地などの自分が普段クルマに乗る上で最も身近な環境のコースだけに乗り慣れたGHインプとの違いがよくわかって非常に面白かった。

GJは一言で言うと、誰にでも勧めることのできるクルマである。ステアリングはGHとくらべてもより重めで、ハンドリング自体も十分に高剛性なボディとしっかりしたサスペンションまわり、AWDとボクサーの寄与のお陰で割りと流れの速い夜の首都高でも全く不安を感じさせずに走る。どちらかと言うと、ゴルフとかのドイツ車に近いハンドリングかも。少なくともGHインプや現行レガシィよりもずっとしっとりしている。ただ、GHのノンターボが、堅いボディをのびのびとしたサスペンションで支え、ロールやダイブを大きめにとりながらもとても掴みやすい荷重感覚と乗り心地を実現していたのとは対照的に、GJインプはあんまりロールをさせず、段差や路面のうねりも割りと直接的にドライバーに伝えてくるのには少し違和感を感じた。シートが結構弾力に富んでいたこともあって、荒れた路面では少し身体が跳ねるような感じ。サスペンションをもう少ししっとりさせるか、シートをより安定するようなクッション設定にしたほうがいいようにも感じられた。

Aピラーが寝た弊害で視界も悪くなっているかとおもいきや全然そんなことはない。たしかに、GHのような視野と前後の窓枠が綺麗に一致しているような人車一体感はないけれども、他のメーカーのクルマに比べたらそれはもう十分に視界が良い。

乗って一番感じるGHとGJの相違点は動力系のフィーリングだろうか。GJはCVTのせいもあってAT以上にダイレクト感は薄いが(GHのATは2速以上のロックアップ範囲がそれなりに広いからなのかもしれない)、GJはほんのちょっと踏むだけで回転数が全然上がっていないはずなのに非常に強いトルクで押されるような感触を受ける。もちろんスロットルの設定が違うというのはあるのだろうけど、タコメーターで読む限りではGHとはぜんぜん違うトルクの吐き出し方をしているので、やはりFBとEJは全く違うエンジンなのだということがよく分かる。下からトルクが出ているというのはショートストローク・低回転トルクスカスカのEJに乗り慣れていると違和感を感じるが、他のエンジン型式を持つクルマのように扱い易いというのは確かだと思う。
ただ、高回転までぶん回した時の気持ちの良さではFBエンジンはEJエンジンにはかなわないと今回あらためて感じた。EJで高回転まで回した時に聴覚と触覚に入ってくるイケナイコトをしている感じとはうってかわって、FBの高回転の感じは、回しても多少気持ちのいい直列エンジンとそんなに変わらない。もちろん日常域なら振動も少なくてとてもいいエンジンなんだけど。
燃費はいい。とくにGHの苦手な渋滞の街中でもGH+1から2km/lは出ているのではないかと思える。CVTが優秀だというのはあると思う。

GJの運転席は現行のスバル車らしいエッジのたったもの。GHインプやBPレガシィのような包まれ感の強いものではないけれども、意外としっくり来る。すこし大きなクルマを運転しているような感じを受けるけれども。水温計がないのにはがっかりしたけれども、冷静に考えればいらない。インフォメーションディスプレイには燃費計や、航続距離計、4輪へのトラクション図などが表示できて非常に面白い。マツダのi-DMに通じる良さがある。ただ、あっちは運転にエンターテイメント性を付加することに重きが置かれているが、こちらは走ることに対してすこし真面目な様子。

ラゲッジや後席の快適性は十分か。あれだけトランクが広いならセダンも実は悪くないのかもしれない。
ただ、運転席のパワーシートリフターを2lのベースモデルの標準装備から外したのはどうかと思うところもある。手動のリフターではどうしても腿の位置が調整できず、理想的なドライビングポジションをとることが難しくなった。


今回乗って現行のインプレッサはさまざまなパーツや要素を先代から引き継ぎながらも、感動的なまでに欠点を潰してきたクルマだと感じられた。価格・性能いろいろな面から見て誰にでも勧められる。
一方でそれまでのインプレッサが持っていたクセも急激に薄れてしまい、そこがすこし淋しくも感じられる。ただ私がGHに乗り慣れた後に二代目のGD/GCインプレッサに乗った時にはまた全然コンセプトの異なるクルマに感じられた(狭いし、硬いし、驚くほど機敏だし)わけだし、GH自体もまた以前のインプレッサを壊した先に立っている車なのだということも忘れてはいけないのかもしれない。結果的には進化するごとに違うキャラクター性を纏い、以前のモデルが陳腐化しない。そう考えると各代に固定ファンが出来るのもうなずける車種なのだろう。

2013年11月1日金曜日

ツーリングワゴン

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20131031-OYT1T00214.htm レガシィ「ツーリングワゴン」2014年で廃止


レオーネ時代から始まり、ワゴンブームとともに日本のステーションワゴンの歴史を牽引し続けたレガシイもついにツーリングワゴン廃止へ。
ステーションワゴンは今でもヨーロッパではジャーマンプレミアム三社が各クラスにラインナップしていたり、パサートやモンデオのようないかにもヨーロッパらしいDセグ車から、シュコダやセアトのような低価格Cセグ車まで百花繚乱のジャンル。ヨーロッパでは日本なんかよりもはるかに多くのステーションワゴンが走り回っている。

今回のセダンとアウトバックへのシフトもレガシイが現行型からヨーロッパよりアメリカと中国を主眼においたモデルになっている事もきっと関係しているに違いない。
サイズ的に日本や欧州で扱いやすいインプレッサが先代と現行で車格を上げて、洗練された乗用車になったのもこれと一連の流れではあるのだろう。

後継に当たるレヴォーグはティザーを見る限りはステーションワゴンとハッチバックの中間に当たるボディタイプのモデルのようだ。最近ではボルボがV40で似たようなコンセプトを打ち出しているし、ホンダのアコードも短い荷室にシフトしている。そういう意味ではこのようなコンセプトがこれからの流行りになっていく可能性もあるのかもしれない。
最終カルディナやアヴァンシアは登場当時としては実に地味で中途半端にも思えたけれども、こうしてみると意外にも時代を先取りしたクルマたちだったのかもしれないとは思う。

個人的にはとても好きなクルマのジャンルだけあって、日本でこのジャンルが衰退することは非常に悲しくも思える。安心して走れて、たくさん荷物も乗せられて、それでいて野暮な感じの薄いステーションワゴン文化はもっと親しまれてもいいはず。