2013年12月31日火曜日

2013

例年になくギリギリの23時50分からの執筆スタート。

今年は年始から卒論で幕を開け、少ししてからいきなりの院生生活のスタートを迎えました。
プロジェクトや、課題で今までになくいろいろなところを飛び回ったそんな一年だったと思います。
そして、やはりいちばん個人的に大きかったのは夏のヘルシンキでの経験でした。少しだけ専門を持った状態で、世界中から来た近い分野の人間とともに時間を過ごした経験はこれまでにない刺激的なものでした。なにより足と沢山の時間を使って一つの都市と向き合う経験ができたことは何よりもの財産です。

いろいろなところを飛び回ったということは、これまで知らなかった色々な世界を知ることができた機会にも恵まれたことでもあり、それまで考えても見なかったことが今では頭の中にずっと居続けたり、そんな色々な萌芽を産んでくれたそんな一年だったようにも思えます。

今年も様々な事で色々な人にお世話になりながら歩んできたそんな一年でした。息つくヒマもなく来年へと歩みを進めていきますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

2013年11月30日土曜日

GHとGJ。2台のインプ。

家の車が車検のため、GJ(いわゆる四代目セダン)インプレッサを代車として借りた。
クルマで動く用事が多い1日だったため、自宅近辺→学校→本郷というよくあるコースの120kmほどの行程を走った。
渋滞、ゆっくり巡航の第三京浜、周りのクルマに合わせて走る首都高、狭い路地などの自分が普段クルマに乗る上で最も身近な環境のコースだけに乗り慣れたGHインプとの違いがよくわかって非常に面白かった。

GJは一言で言うと、誰にでも勧めることのできるクルマである。ステアリングはGHとくらべてもより重めで、ハンドリング自体も十分に高剛性なボディとしっかりしたサスペンションまわり、AWDとボクサーの寄与のお陰で割りと流れの速い夜の首都高でも全く不安を感じさせずに走る。どちらかと言うと、ゴルフとかのドイツ車に近いハンドリングかも。少なくともGHインプや現行レガシィよりもずっとしっとりしている。ただ、GHのノンターボが、堅いボディをのびのびとしたサスペンションで支え、ロールやダイブを大きめにとりながらもとても掴みやすい荷重感覚と乗り心地を実現していたのとは対照的に、GJインプはあんまりロールをさせず、段差や路面のうねりも割りと直接的にドライバーに伝えてくるのには少し違和感を感じた。シートが結構弾力に富んでいたこともあって、荒れた路面では少し身体が跳ねるような感じ。サスペンションをもう少ししっとりさせるか、シートをより安定するようなクッション設定にしたほうがいいようにも感じられた。

Aピラーが寝た弊害で視界も悪くなっているかとおもいきや全然そんなことはない。たしかに、GHのような視野と前後の窓枠が綺麗に一致しているような人車一体感はないけれども、他のメーカーのクルマに比べたらそれはもう十分に視界が良い。

乗って一番感じるGHとGJの相違点は動力系のフィーリングだろうか。GJはCVTのせいもあってAT以上にダイレクト感は薄いが(GHのATは2速以上のロックアップ範囲がそれなりに広いからなのかもしれない)、GJはほんのちょっと踏むだけで回転数が全然上がっていないはずなのに非常に強いトルクで押されるような感触を受ける。もちろんスロットルの設定が違うというのはあるのだろうけど、タコメーターで読む限りではGHとはぜんぜん違うトルクの吐き出し方をしているので、やはりFBとEJは全く違うエンジンなのだということがよく分かる。下からトルクが出ているというのはショートストローク・低回転トルクスカスカのEJに乗り慣れていると違和感を感じるが、他のエンジン型式を持つクルマのように扱い易いというのは確かだと思う。
ただ、高回転までぶん回した時の気持ちの良さではFBエンジンはEJエンジンにはかなわないと今回あらためて感じた。EJで高回転まで回した時に聴覚と触覚に入ってくるイケナイコトをしている感じとはうってかわって、FBの高回転の感じは、回しても多少気持ちのいい直列エンジンとそんなに変わらない。もちろん日常域なら振動も少なくてとてもいいエンジンなんだけど。
燃費はいい。とくにGHの苦手な渋滞の街中でもGH+1から2km/lは出ているのではないかと思える。CVTが優秀だというのはあると思う。

GJの運転席は現行のスバル車らしいエッジのたったもの。GHインプやBPレガシィのような包まれ感の強いものではないけれども、意外としっくり来る。すこし大きなクルマを運転しているような感じを受けるけれども。水温計がないのにはがっかりしたけれども、冷静に考えればいらない。インフォメーションディスプレイには燃費計や、航続距離計、4輪へのトラクション図などが表示できて非常に面白い。マツダのi-DMに通じる良さがある。ただ、あっちは運転にエンターテイメント性を付加することに重きが置かれているが、こちらは走ることに対してすこし真面目な様子。

ラゲッジや後席の快適性は十分か。あれだけトランクが広いならセダンも実は悪くないのかもしれない。
ただ、運転席のパワーシートリフターを2lのベースモデルの標準装備から外したのはどうかと思うところもある。手動のリフターではどうしても腿の位置が調整できず、理想的なドライビングポジションをとることが難しくなった。


今回乗って現行のインプレッサはさまざまなパーツや要素を先代から引き継ぎながらも、感動的なまでに欠点を潰してきたクルマだと感じられた。価格・性能いろいろな面から見て誰にでも勧められる。
一方でそれまでのインプレッサが持っていたクセも急激に薄れてしまい、そこがすこし淋しくも感じられる。ただ私がGHに乗り慣れた後に二代目のGD/GCインプレッサに乗った時にはまた全然コンセプトの異なるクルマに感じられた(狭いし、硬いし、驚くほど機敏だし)わけだし、GH自体もまた以前のインプレッサを壊した先に立っている車なのだということも忘れてはいけないのかもしれない。結果的には進化するごとに違うキャラクター性を纏い、以前のモデルが陳腐化しない。そう考えると各代に固定ファンが出来るのもうなずける車種なのだろう。

2013年11月1日金曜日

ツーリングワゴン

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20131031-OYT1T00214.htm レガシィ「ツーリングワゴン」2014年で廃止


レオーネ時代から始まり、ワゴンブームとともに日本のステーションワゴンの歴史を牽引し続けたレガシイもついにツーリングワゴン廃止へ。
ステーションワゴンは今でもヨーロッパではジャーマンプレミアム三社が各クラスにラインナップしていたり、パサートやモンデオのようないかにもヨーロッパらしいDセグ車から、シュコダやセアトのような低価格Cセグ車まで百花繚乱のジャンル。ヨーロッパでは日本なんかよりもはるかに多くのステーションワゴンが走り回っている。

今回のセダンとアウトバックへのシフトもレガシイが現行型からヨーロッパよりアメリカと中国を主眼においたモデルになっている事もきっと関係しているに違いない。
サイズ的に日本や欧州で扱いやすいインプレッサが先代と現行で車格を上げて、洗練された乗用車になったのもこれと一連の流れではあるのだろう。

後継に当たるレヴォーグはティザーを見る限りはステーションワゴンとハッチバックの中間に当たるボディタイプのモデルのようだ。最近ではボルボがV40で似たようなコンセプトを打ち出しているし、ホンダのアコードも短い荷室にシフトしている。そういう意味ではこのようなコンセプトがこれからの流行りになっていく可能性もあるのかもしれない。
最終カルディナやアヴァンシアは登場当時としては実に地味で中途半端にも思えたけれども、こうしてみると意外にも時代を先取りしたクルマたちだったのかもしれないとは思う。

個人的にはとても好きなクルマのジャンルだけあって、日本でこのジャンルが衰退することは非常に悲しくも思える。安心して走れて、たくさん荷物も乗せられて、それでいて野暮な感じの薄いステーションワゴン文化はもっと親しまれてもいいはず。

2013年9月16日月曜日

Helsinki Festivalについて。とKEBU。

今回ヘルシンキに滞在していた三週間程度の間には多くのイベントが開かれていた。その中でも特に都市に密着していて、なおかつ長い期間開かれていたイベントがHelsinki Festivalであろう。

http://www.helsinginjuhlaviikot.fi/en/

8月の半ばから9月頭までの半月の間に音楽や現代アートを中心にしたプログラムが毎日ひっきりなしに(しかも多くの場合無料で)開催されるというまさに夢のようなイベントである。いわば完全に都市内に入り込んでいるロックフェスと芸術祭の複合なのである。
多くの場合、複合施設やバー、カフェなどでの展示やライブが多いのでそこら辺のステークホルダーたちがどんなふうに活動してこのフェスを成り立たせているのかはまだ調べていないのでよくわからない(携帯会社や新聞社、金融系の会社が主力スポンサーに名を連ねているのはあまり意外性はないが)。ただ、ビール会社が協賛に入っていて、会場となっている各カフェに公式商品として自社のビールを納入しているのはとてもおもしろかった。


今回はペーパーの提出も近かったのであんまりたくさん夜に出歩くことはできなかったのだけれども、オープニングイベントと、Kebuというアナログシンセミュージシャンのライブには行くことができた。

オープニングイベントはヘルシンキのシンボルの一つでもある港の地域を中心に行われたホーンパフォーマンス。観光船から砕氷船まで、ヘルシンキに関わる多くの船が港に集まり、各船のホーンを鳴らして音楽を奏でるという非常にかっこいいもの。その間はスオメンリンナへのフェリーもお休みして、港全体が巨大な楽器になるのだ。とても気合が入っている。海辺のサウナに遊びに行った後だったので、寒かった記憶が強く残っているけれども、パフォーマンス自体の風景も太陽が傾いた夕方の港の記憶としてとても心に残っている。

オープニングイベント以外に行ったライブがビンテージのアナログシンセとシーケンサ、アナログMTRのみで録音・ライブをしているKEBUというフィンランドのミュージシャンのもの。
比較的緩い感じの南国エスニック料理を扱っているお店でのフリーライブということもあり、敷居も低いので行ってみることにした。会場にはそれなり幅広い人々がいるものの、中心は若い男性。やっぱりこういうジャンルの音楽のリスナー層はそこら辺に固まるのは世界共通か。
Youtubeなどで見ていた印象とは異なり、彼が観客を煽ったりする場面もあるなど結構ホットな感じのライブであった。シーケンサに組まれた音の中を彼が飛び道具的にかっこいいリフを弾きながら踊る。そんな感じの自由でエキサイティングなステージ。初めて生で聞くオデッセイの音は非常に素晴らしい。気がついたら体が揺れていた。途中踊りだしていたお姉さま方に「踊りたそうだし、一緒におどりましょう!」的な感じで言われてしまったが、こちらはKebuのプレイがもっと見たいので丁重に辞退。非リアスキルの高さを遺憾なく発揮した。逆に言うと、ヘルシンキの人々は結構この手の音楽でもおとなしく聴いているのはなにか非常に興味深いものがあった。




ライブが終わり、CDの即売とサインタイムが始まる。いつか欲しいと思っていたのでCDを買って、サインを貰いに行く。とても気さくで穏やかな人で、なんだか、こうミュージシャンというよりも職人や研究者みたいな感じの物腰。写真も撮ってもらい、ニヤニヤしながら深夜の街を歩いて部屋に戻った。
帰ってCDをじっくり見て気づいたのだけれども、ジャケットに楽曲ごとの使用機材の一覧が載っているではないか。この手の気遣いは本当にワクワクしてしまう。

デジタルシンセを使わず、録音もアナログでというスタンスは我が敬愛するBOSTONのトムにも通じる物がある。やはり、こういうスタンスを取る表現者の人々はすべからく何かサウンドの面でも自分の感性に刺さるものがあるのかもしれないとぼんやりと思った。



To Jupiter And Back

2013年6月2日日曜日

雲南旅行記 Day6 大理 喜洲

ちまちま書きためて、ゴールを目指すことを目標に、久々の更新。


この日は喜洲へ向かう。
朝クルーズ付きのツアーをユースのカウンターで勧められるが自由にぶらぶらあるくことができないので自力で向かうことに。
出発前に腹ごしらえ。福建料理の汚いお店でしたが、味はしっかり。賭けには勝った!



バスに西門から乗る。正確には西門から少し離れた駐車場から。「喜洲」と書いてあるボードをダッシュボードに乗せているので、それに上手く乗り込めば多分大丈夫。古くはないが、汚く使い込まれた良い感じの中国バス。走りだすと最初はやたらゆっくりでコレで喜州までたどり着けるのかと心配ではあったが、市街を抜ければ猛スピードで田んぼやトウモロコシ畑の中を突っ切る幹線道路を突っ走る。




時折洱海からの灌漑水路とクロスしながら走る。見える畑の作物があまり良い感じの生育でなかったのが気になる。バスの車掌をやっている白族風のおばさんに入場料を安く買ってもらい、喜州の観光施設の中へ。いきなり付きっきりのガイドさんにハンドオフされて、そのままいそいそとショーへ。ショーはクオリティこそアットホームだけど、民族衣装に民族歌唱もありの盛り沢山な雰囲気。



やったら美声なんですよこれが。



その腹に文字通り茶を噴きそうになること数回。


その実、お茶の販売ショーではあるんだけどね。
そして、ショーが終わればそのままお茶屋さんへ。中国では実にお決まりな流れである。お茶屋さんではプーアル茶やローズヒップ、药茶など幾つかのお茶を試し飲む。まあ値段もそこそこなのでちょっとだけおみやげを買って帰る。ここで、お茶屋さんに同行者が「特に韓国人っぽい」と言われる。
お茶屋さんを出るともうガイドさんは居ない。さすがである。合理的。




観光施設の中をめぐると藍染や大理石や乾物屋さんなどの地元の伝統的な商品を扱うお店が多い。そうか、ここはそういうための場所だったのか。でもなんだか緩い。冷やかしもそこそこに観光施設を出る。


せっかくなので喜州の中をぶらつくことにしようということに。特にあてもなく、街を歩く。ちょうど中学校の休み時間の終わりと重なっていたこともあって、中学生がどっと自転車で街を走り抜けていく。こうしてみるとどこもある意味ではそんなに変わらないなあ。






シクロのような、ロードのような感じのドロハンバイクが男子生徒には人気な模様。

街のお店のラインナップは文具屋さんやスポーツ用品といった学校の近くらしいお店や、家電屋、携帯屋、太陽熱温水器点、油屋、街の鉄工所といった具合に様々。面白い。こうして見ると、結構中国には手に職を持って生きている職人が多いのかもしれない。日本の高度経済成長期とかもそうだったのかなとすこし思いを馳せる。



道が悪い。


パソコンが普及して、すっかり都市部では見なくなった网吧(ネカフェ)もここでは健在。ネトゲにハマっているような若者が中にたくさんいた。


その後も町をぶらぶら。いろいろなものを見ながら昔の名家の屋敷に着く。とても贅沢な雰囲気とは裏腹の結構コンパクトなスケール感。当時から塀が張り巡らされた喜洲の町ならではのスケール感なのかもしれない。


洒落た中庭。


不思議な開口と、面白い二階の回廊構成を持つお屋敷。梁や天井にも細工がなされていたり、この他にも西洋風の建物があったりと、なかなかに贅を尽くした館なのであった。


喜州の四方街。その名前がついている通り、旧市街の中心部の広場。今回の雲南旅行ではまだ都市の旧市街がしっかりと残された都市をたくさんめぐることができた。中国の古い都市の設計思想の根本にある四方街の考え方は個人的にはとても好きなものの一つ。

軸線がスパッと抜けるようなシステマティックに作られている都市では体験できない、迷いながら徐々にその都市の地理を身体に溶け込ませていく感覚をそんな都市では得ることができる気がする。そして、迷いながら四方街に出た時に頭のなかの地図と都市の地図の整合作業が一つ完了し、その次の地図のすり合わせの旅がまた四方街から始まる。そんな気がするのである。



壁に藍染をかければそこは即売場に。



そうこうしながらバスのりばへ戻る。同行者はお腹がすいたというので懲りずに粑粑(小麦をパンケーキみたいに焼いたもの。)に挑戦。


ピーナッツで失敗をした前回の教訓を元に今度はしょっぱい系で。ネギとお肉の乗ったふっくらしたのを持って帰ってきた。
味も美味しいらしく満足だった模様。


こんな感じのバスでした。


バスは喜洲へ戻る。とりあえず歩いてホステルへ。

夕食までは少し時間があるので色々と歩きまわって見ることに。城壁にのぼったりしながら時間を潰す。近くの温度計を見るとなんと10度台全然そんな寒く感じていなかったのに。。。


大きな裾野の蒼山に張り付くように広がる大理旧市街の街なみ。城壁内一番古い市街地の外はそれなりに普通の建築物が立ち並ぶ。区画の作り方とかは城壁内のルールを結構踏襲しているようにも思える。



城壁の上では塔をスケッチする青年が。雲を頂く蒼山と、大きく横たわる洱海。確かにここは描きたくなるような町、大理である。

ご飯を食べにユースの近くの通りまで戻る。イスラム系(多分ウイグルとか)の人がやっている料理屋さんに入って炒飯と炒め物を食べる。とても美味しかった。

宿に帰ってビールを開け、プリペイド枠に余っている通話をするべく少しだけ日本と話したりしながら夜はふける。



おまけ


レンガを利用したなんともいい加減な輪止め。1枚の斜面上の大理の旧市街地ならではの後継かもしれない。ちなみに、このすぐそばでは家の増築工事が行われていて、大量のレンガがその現場に積み上げられていた。どう考えてもそこから失敬してきていることは明白。



多くの人が犬を飼っていた麗江とは対照的に、ここでは猫も結構飼われている印象。
子猫のかわいさはどこでも変わらずすごいものがあるのですね。





2013年3月8日金曜日

雲南旅行記 Day5 麗江-大理


夕方に麗江を発つため、黒龍譚公園を歩いて訪れる。
朝の公園は良いものだ。


市松模様好きにはたまらない。

人が少ない時間帯を狙ってか、結婚写真を公園内で撮っているカップルが多数。結構本格的なカメラマンがついて、ライティングアシスタントを引き連れて写真を撮っている。なかなか見ているだけでおもしろい。


貸し衣装とレタッチ用のPCが置いてあるブースがいたるところに置いてあることからも、そういう用意周到な人々以外にも結構ここで写真を撮りたがる人が多いのかもしれない。それにしても便利な時代である。





公園をめぐり終わって、麗江初日に入ったお店に入る。ここのお店の料理は本当においしかった。
写真の豚肉とにんにくとネギとしょうがと唐辛子を炒めただけの料理が今回の中国旅行で一番美味しかった一皿だった。帰国後に何度となく再現しようと調理をしているけれども、、、なかなか難しい。



お腹をふくらませた後は駅に向かう。昼過ぎ発の大理行きの列車に乗る。
この中国の駅ならどこにでもかならずある彩度のきつい電光掲示板もなんだか見慣れてきた。
大分早く駅に着いてしまったので、売店で飲み物を買ったりしながら時間を潰す。



中国の汽車旅といえば、どこからともなく漂ってくる方便面(カップ麺)の匂いであろう。車端にある高温のお湯で満たされた大型ポットから、各自持ち寄った方便面にお湯を注ぐ。高校の時に初めて中国の夜行列車に乗ったときは、密閉空間でカップ麺を食べていることにとても驚いたけれども、今となっては特に不思議にも思わず、むしろ寝台車両にはカップ麺が欠かせないとすら感じてしまっているのだから慣れは恐ろしい。
昼にたらふく食べたはずなのに、しっかりとおやつを食べてしまった。

となりのコンパートメントにいた大人数の家族連れのお父さんがスマホで小さな双子の写真をひたすら撮っているのが面白かった。そして、めっちゃ甘々だったお父さんがそのスマホに電話が来るなりさっと仕事の表情に切り替わったのもとてもコミカルであった。どこでも小さい子のいる家族は見ていて飽きない。
近くに座ったおじさんが少しだけ日本語がわかるようで、ちょっとだけ日本語絡みの話で盛り上がった。中国を旅行していると程度の差異はあれどわりと日本語が分かる人が多いのが興味深い。


洱海が見えてくるともうすぐ大理に着くことを知らせる放送が流れる。夜行ではあまり当たらない古い車輌はこうやって写真に撮ると画になる。

大理に着く。駅前は例に漏れずタクシーの客引きが激しい。それをかき分けて、古城行きのバスのりばと思しきところへ向かう。タクシーの運ちゃんも英語で話しかけてきたり、しきりに時間の早さをアピールしてきたりするが、ここはやはりバスで。

そんなに大きな都市ではないはずなのに、バスは結構綺麗。街並みも麗江とは打って変わってそれなりに都会らしい。そこからしばらくバスは古城に向かって洱海沿いの道を走る。徐々に市街地が切れると素朴な田舎の風景が広がる。しばらく経ってバスは古城近くへ。距離にして十数キロ。新市街地と旧市街地としてはそれなりに離れている方だとは思う。
そういったまちの構造故か最もプリミティブな市民の足は中国の大都市でよく見られる電動バイクではなく、一時期日本でも話題になったヤマハYBR125とかそこらへんの125ccの小型バイクであることも興味深い。イメージだとそれらのバイクはもう少し田舎で使われているイメージだったのだけれども、ここ大理の場合は二つの市街地を行き来するためには電動バイクでは航続距離が不十分なため都市でも使用されているのではないかとなんとなく推測できる。



大理最初のご飯は店先に野菜やらザリガニやらが並んでいるお店に。
味は結構塩味が強かったため、ビールが良くすすんだ。

ユースホステルのロビーで白酒をちびちび飲みつつ同行者と語らい、夜は更けていった。





2013年3月7日木曜日

しばらくぶりのお伊勢参り

サークルの同期卒業旅行ということで伊勢に行ってきた。

式年遷宮の年という事もあり、新旧の本殿が並ぶ姿をどうしても見たかったというのはある。
一昨々年の夏に行って以来のお伊勢参りである。

ミニバンを借りて一路伊勢へ。
これまで静岡までしか走ったことのなかった新東名をあっけなく全線制覇。景色の変化は少なく、流れも速いし、起伏も少ないのでとてもあっけない。


休日の昼に到着したにもかかわらず、意外とスムーズに駐車もできて、とてもらくらく観光がスタートできた。横丁に近い駐車場は混んでいたみたいだけど、河川敷の公式駐車場はわりと余裕があった。



お参りの前に腹ごしらえを済ませていると少しづつ晴れてきた。



イレギュラーになってしまったが内宮からのお参り。



一日目はそんなに時間がなかったので、内宮のみで。夕方はおかげ横丁でおもいおもいの時間を過ごす。よく整備されていてさすが日本の観光旅行の元祖の地である。ここだけでも十分に楽しめるな。



二日目はお宿の近くの二見興玉神社から。綺麗に晴れて、伊勢湾の眺めがとてもよい。


ここはThe伊勢の名所のひとつ夫婦岩でも有名な神社。岩と波と松。確かにこれはまさに景勝地といった素晴らしい風景。


この後、外宮にお参りし、昼過ぎに伊勢を出て、夜には関東に帰ってくることができた。

いろいろとあってお伊勢様の外宮の本殿には縁があるのだけれども、できたばかりで真新しい姿を見せるのこれからの本殿と、今のご本殿をこの目で共に見ることができたことはとてもいい経験になった。
新しいご本殿にお移りになった後もまた見に行きたいと強く思う。

2013年2月27日水曜日

ヴァンケルドライブ



ロータリーエンジン車に一度でいいから乗ってみたかった。
小さい時に見たプロジェクトXの影響からか、ユーノスコスモやFDの影響からか、むかしからずっとロータリーは特別なエンジンだという意識が強かった。中学生に入って最初に行った東京モーターショーでFDの最終型の告知と、次期ロータリースポーツのアナウンスをしていたことを覚えている。
あの時は10年近くに渡って、その次期ロータリースポーツが生産されることも、その次に来るモデルが用意されないことも想像してすらいなかった。

RX-8は今年の夏前に生産を中止した。レンタカーに残るのもそうは長くない。

先日、たまたま安いキャンペーンがあったのと、メンバーが集ったこともあって、意を決して借りることにした。

もしかしたら世界で最後の純粋なロータリーエンジン車になるかもしれないし、それに乗れる機会だって決して多くはないだろうから今回を逃したら乗ることはできないのではないかとすら思えた。

今まで乗ったクルマの中で一番パワーがあるわけでも、一番軽いわけでも、一番アイポイントが低いわけでもない。MTでもないし、ターボでもないし、正直”エキサイティング”な類なクルマではないのだと思っていた。


乗り込んでエンジンをかけるとたしかに聞こえてくる不思議なアイドリング音。
暖気が終わった時でもアイドリング回転数は1,000rpmと比較的高い所に設定されている。
地下駐車場から出るためにちょっと踏むだけでもエンジン本体が「beeeeeen」とモータのような音で唸る。この手のクルマにしては排気音が小さく、エンジンとミッションの音が室内に響くのも、実用的なスポーツたるRX-8らしさなのかもしれない。

エンジンがまっすぐに回転とパワーを伸ばしてくれるのと、前後のバランスが良い(エンジンサイズの小さいロータリーならでは?)ので、安全なところでがんばって操っても安心感のある挙動を示してくれるあたりはまちがいなく”スポーツカー”である。

返し終わった後に同行メンバーみんなが乗る前よりもクルマを好きになっていたに違いない。

高速が主体とは言え、それなりに渋滞もあり、寒い中での行程だったにもかかわらず、燃費は9km/lを超えたので、それなりに悪くない経済性能なのかもしれない。
後部座席に大柄な人が乗ってもそこまで窮屈にもならず、サイズも常識的。いろいろな面を独立させて考えればそれぞれそんなに特筆すべき要素でないものでも、ロータリーで、このパワーで、NAで、この燃費で、このサイズで、この居住性で、この走りで、この価格と考えると本当にこのクルマが技術者の努力の結晶であることはよく分かる気がする。

サーキットとかで走りこむ人や、普段から大人数でクルマを使う層には不満は多いのかもしれないが、今の日本車の主流となっている着地点とは違うところにあるバランスのとれた着地点としてこのクルマを見てみれば、ある意味とても優秀な選択肢にすら思えてくる。
実際、RX-8を街で見る機会は同世代のスポーツカーよりも圧倒的に多い。それだけ、生活に根付くことのできるスポーツカーなんだと思う。

夢をしっかりと持ったこんなクルマの後継がちゃんと作られるといいな。




2013年2月18日月曜日

French Films/Imaginary Future



IMAGINARY FUTURE

最近購入して、気に入っている1枚。
フィンランド出身のFrench Filmsの今のところ唯一?のフル・アルバム「Imaginary Future」。
ストロークスにサーフ・ロックっぽいような風味をたくさん加えて甘々に味付けたみたいな感じのサウンド。それをモリッシーみたいなねちっとしたボーカルで纏め上げたような感じ。Youtubeで彼らの音を聴いてなんだかとても好きになってしまい、ついつい買ってしまいました。
スミスが大好物なので、仕方ないのです。

TDCCとかみたいなバンドが世界的に流行っている中でフィンランドもその例外ではないらしく、ネオアコとエレクトロを足して慣らしたようなバンドが沢山いるらしい。そんな中でも知名度があり、ネオアコとサーフの成分が強めのバンドがFrench Filmsとのこと。
#3のGolden Seaに代表されるようにとてもキャッチーかつ、ちょっとチープな感じにあふれた曲達がある種のとてつもないいとおしさを喚起するような、そんなバンド。
日本人にもとても馴染みやすいようなある種の「クサさ」にあふれた展開の癖もアルバム全編にわたって横たわっていて、1枚を通して聴いた時に退屈に思える人もいるかもしれないけれど、個人的にはとても良いと思う。

惜しむらくは他の音源の入手性の悪さであろうか。この1枚だけは国内盤も一瞬出ただけあって、Amazon.co.jpでも入手しようとすればできるけれども、(今回はUKから取り寄せてしまったが)。他の作品はデジタルデータ以外での入手は難しく、デジタルデータであってもAmazon.co.ukやiTMSの海外版でのみしか入手ができない状況であり、日本からはYoutubeやマイスペにアクセスして聴くぐらいしか現実的な方法はないのかもしれない。
Amazonの音楽データストアに国境の縛りがあったり、iTMSの現地ストアでは日本のiTMSで使用しているクレジットカードが使えない?などの違いがあるのは困ることだけど、各国の決済方法や著作権の扱いを配慮してのそういった措置に対してストアにラインナップの偏りをなるべくなくす事で対応してくれればユーザーとしては嬉しいなと思ったり。実にデジタル時代っぽくないけれども。
これだけデジタル化が進んでいて、わりと国の違いを意識せずに色んな物をいろいろなところから購入できるような世の中で、久しぶりに国境がネックになっている入手性の問題にぶち当たった気がする。

PROPS第四回に向けて



その名前が「建築不動産実務クラスタ交流会」であった時からお手伝いさせていただいている「PROPS」というイベントがある。

毎回配信やスライド・機材関係でのお手伝いをさせていただいている関係で、トークの内容を聴いたり、資料をじっくり見せてもらえる機会が多いこともあり、非常にイベントの面白いところを見せてもらえていると感じている。

来週2月24日に第四回の「マーケティング・レイティング」が開催されるので、その前に印象的だった第三回を簡単に思い出して記してみようと思った。

第三回のテーマは「働き方・生き方・稼ぎ方」 第三回は実務の内容に近いものを扱うそれ以外の回と比較すると少し異質なテーマ。まだ学生の身であり、実務に携わっていない身にとってはいつになくセンセーショナルなテーマでもあった。
第一部の登壇者の方々はより建築・不動産の実務の世界で生きてきた方々、第二部の方々はさらにワイルドに様々な形で枠組みレベルから自分で働き方を作って生きている方々という構成だった。 そういったこともあり、一部ではどうやってキャリアを形成し、それを育て、「死なない」ために何が必要か、キャリアを形成するために必要な環境は何かという、より業界内での「働き方・生き方」にフォーカスした内容だったのに対し、二部では「こういった生き方・働き方があるんだ」「こういった生き方の場が成立するのか」といったブレイクスルーに重心がよっていた点がとても印象的だった。

二部が終了し、バータイムでCOEDOビール(特に無濾過のものがものすごく絶品で、感動的だった。)を片手にこれまでの会にも深く関わっておられるある方と会の内容について話をしている時にその方から二部の登壇者の方々について「やっぱりあの人達だから形成できたキャリアっていうのはあると思う。なにせ恐ろしく面白く、ぶっ飛んでいる人なのだから。他の人が真似をしたらこうは行かないだろうし、そもそも他の人が同じような発想に辿りつけない場所で生きているからああいう生き方ができるのだろう。」といった趣旨の話を何人からか聞いた。確かにそうだと思う一方で、個人的には第二部の登壇者の方々のキャリアパスについてもその根底に流れる一貫したものをなんとなく感じられたようにも思える。
今回の会のように第一部のリアリティあふれるトークと並列しての第二部の内容があったからこそ、それらの方々のキャリアに対するビジョンの位置付けがしっかりと理解できたような気もしており、とてもおもしろい構成だったと会が終わった後にぼんやりと考えていた。


PROPS公式より(撮影 楠瀬友将)









宣伝のようになりますが、来る2月24日(日)に第四回「マーケティング・レイティング」が開催されます。チケットの申し込み、会場や時間などの詳しい情報はhttp://props.a-ri.jp/811にあります。
今回はまさに実務クラスタ交流会の時からPROPSが向き合ってきた建物と不動産をつなぐというテーマのメインストリームに位置する内容だけにとても期待が持てます。座席の確保はお早めに!