2013年2月27日水曜日

ヴァンケルドライブ



ロータリーエンジン車に一度でいいから乗ってみたかった。
小さい時に見たプロジェクトXの影響からか、ユーノスコスモやFDの影響からか、むかしからずっとロータリーは特別なエンジンだという意識が強かった。中学生に入って最初に行った東京モーターショーでFDの最終型の告知と、次期ロータリースポーツのアナウンスをしていたことを覚えている。
あの時は10年近くに渡って、その次期ロータリースポーツが生産されることも、その次に来るモデルが用意されないことも想像してすらいなかった。

RX-8は今年の夏前に生産を中止した。レンタカーに残るのもそうは長くない。

先日、たまたま安いキャンペーンがあったのと、メンバーが集ったこともあって、意を決して借りることにした。

もしかしたら世界で最後の純粋なロータリーエンジン車になるかもしれないし、それに乗れる機会だって決して多くはないだろうから今回を逃したら乗ることはできないのではないかとすら思えた。

今まで乗ったクルマの中で一番パワーがあるわけでも、一番軽いわけでも、一番アイポイントが低いわけでもない。MTでもないし、ターボでもないし、正直”エキサイティング”な類なクルマではないのだと思っていた。


乗り込んでエンジンをかけるとたしかに聞こえてくる不思議なアイドリング音。
暖気が終わった時でもアイドリング回転数は1,000rpmと比較的高い所に設定されている。
地下駐車場から出るためにちょっと踏むだけでもエンジン本体が「beeeeeen」とモータのような音で唸る。この手のクルマにしては排気音が小さく、エンジンとミッションの音が室内に響くのも、実用的なスポーツたるRX-8らしさなのかもしれない。

エンジンがまっすぐに回転とパワーを伸ばしてくれるのと、前後のバランスが良い(エンジンサイズの小さいロータリーならでは?)ので、安全なところでがんばって操っても安心感のある挙動を示してくれるあたりはまちがいなく”スポーツカー”である。

返し終わった後に同行メンバーみんなが乗る前よりもクルマを好きになっていたに違いない。

高速が主体とは言え、それなりに渋滞もあり、寒い中での行程だったにもかかわらず、燃費は9km/lを超えたので、それなりに悪くない経済性能なのかもしれない。
後部座席に大柄な人が乗ってもそこまで窮屈にもならず、サイズも常識的。いろいろな面を独立させて考えればそれぞれそんなに特筆すべき要素でないものでも、ロータリーで、このパワーで、NAで、この燃費で、このサイズで、この居住性で、この走りで、この価格と考えると本当にこのクルマが技術者の努力の結晶であることはよく分かる気がする。

サーキットとかで走りこむ人や、普段から大人数でクルマを使う層には不満は多いのかもしれないが、今の日本車の主流となっている着地点とは違うところにあるバランスのとれた着地点としてこのクルマを見てみれば、ある意味とても優秀な選択肢にすら思えてくる。
実際、RX-8を街で見る機会は同世代のスポーツカーよりも圧倒的に多い。それだけ、生活に根付くことのできるスポーツカーなんだと思う。

夢をしっかりと持ったこんなクルマの後継がちゃんと作られるといいな。




2013年2月18日月曜日

French Films/Imaginary Future



IMAGINARY FUTURE

最近購入して、気に入っている1枚。
フィンランド出身のFrench Filmsの今のところ唯一?のフル・アルバム「Imaginary Future」。
ストロークスにサーフ・ロックっぽいような風味をたくさん加えて甘々に味付けたみたいな感じのサウンド。それをモリッシーみたいなねちっとしたボーカルで纏め上げたような感じ。Youtubeで彼らの音を聴いてなんだかとても好きになってしまい、ついつい買ってしまいました。
スミスが大好物なので、仕方ないのです。

TDCCとかみたいなバンドが世界的に流行っている中でフィンランドもその例外ではないらしく、ネオアコとエレクトロを足して慣らしたようなバンドが沢山いるらしい。そんな中でも知名度があり、ネオアコとサーフの成分が強めのバンドがFrench Filmsとのこと。
#3のGolden Seaに代表されるようにとてもキャッチーかつ、ちょっとチープな感じにあふれた曲達がある種のとてつもないいとおしさを喚起するような、そんなバンド。
日本人にもとても馴染みやすいようなある種の「クサさ」にあふれた展開の癖もアルバム全編にわたって横たわっていて、1枚を通して聴いた時に退屈に思える人もいるかもしれないけれど、個人的にはとても良いと思う。

惜しむらくは他の音源の入手性の悪さであろうか。この1枚だけは国内盤も一瞬出ただけあって、Amazon.co.jpでも入手しようとすればできるけれども、(今回はUKから取り寄せてしまったが)。他の作品はデジタルデータ以外での入手は難しく、デジタルデータであってもAmazon.co.ukやiTMSの海外版でのみしか入手ができない状況であり、日本からはYoutubeやマイスペにアクセスして聴くぐらいしか現実的な方法はないのかもしれない。
Amazonの音楽データストアに国境の縛りがあったり、iTMSの現地ストアでは日本のiTMSで使用しているクレジットカードが使えない?などの違いがあるのは困ることだけど、各国の決済方法や著作権の扱いを配慮してのそういった措置に対してストアにラインナップの偏りをなるべくなくす事で対応してくれればユーザーとしては嬉しいなと思ったり。実にデジタル時代っぽくないけれども。
これだけデジタル化が進んでいて、わりと国の違いを意識せずに色んな物をいろいろなところから購入できるような世の中で、久しぶりに国境がネックになっている入手性の問題にぶち当たった気がする。

PROPS第四回に向けて



その名前が「建築不動産実務クラスタ交流会」であった時からお手伝いさせていただいている「PROPS」というイベントがある。

毎回配信やスライド・機材関係でのお手伝いをさせていただいている関係で、トークの内容を聴いたり、資料をじっくり見せてもらえる機会が多いこともあり、非常にイベントの面白いところを見せてもらえていると感じている。

来週2月24日に第四回の「マーケティング・レイティング」が開催されるので、その前に印象的だった第三回を簡単に思い出して記してみようと思った。

第三回のテーマは「働き方・生き方・稼ぎ方」 第三回は実務の内容に近いものを扱うそれ以外の回と比較すると少し異質なテーマ。まだ学生の身であり、実務に携わっていない身にとってはいつになくセンセーショナルなテーマでもあった。
第一部の登壇者の方々はより建築・不動産の実務の世界で生きてきた方々、第二部の方々はさらにワイルドに様々な形で枠組みレベルから自分で働き方を作って生きている方々という構成だった。 そういったこともあり、一部ではどうやってキャリアを形成し、それを育て、「死なない」ために何が必要か、キャリアを形成するために必要な環境は何かという、より業界内での「働き方・生き方」にフォーカスした内容だったのに対し、二部では「こういった生き方・働き方があるんだ」「こういった生き方の場が成立するのか」といったブレイクスルーに重心がよっていた点がとても印象的だった。

二部が終了し、バータイムでCOEDOビール(特に無濾過のものがものすごく絶品で、感動的だった。)を片手にこれまでの会にも深く関わっておられるある方と会の内容について話をしている時にその方から二部の登壇者の方々について「やっぱりあの人達だから形成できたキャリアっていうのはあると思う。なにせ恐ろしく面白く、ぶっ飛んでいる人なのだから。他の人が真似をしたらこうは行かないだろうし、そもそも他の人が同じような発想に辿りつけない場所で生きているからああいう生き方ができるのだろう。」といった趣旨の話を何人からか聞いた。確かにそうだと思う一方で、個人的には第二部の登壇者の方々のキャリアパスについてもその根底に流れる一貫したものをなんとなく感じられたようにも思える。
今回の会のように第一部のリアリティあふれるトークと並列しての第二部の内容があったからこそ、それらの方々のキャリアに対するビジョンの位置付けがしっかりと理解できたような気もしており、とてもおもしろい構成だったと会が終わった後にぼんやりと考えていた。


PROPS公式より(撮影 楠瀬友将)









宣伝のようになりますが、来る2月24日(日)に第四回「マーケティング・レイティング」が開催されます。チケットの申し込み、会場や時間などの詳しい情報はhttp://props.a-ri.jp/811にあります。
今回はまさに実務クラスタ交流会の時からPROPSが向き合ってきた建物と不動産をつなぐというテーマのメインストリームに位置する内容だけにとても期待が持てます。座席の確保はお早めに!